無職中の健康保険

あくまでも個人的経験と、あさーい理解に基づく話なので、保険のお勉強は皆さん各自でお願いしたい。けれど、仕事を辞める時に保険の話をちょっと頭の片隅に置いておいたほうがいいことだけは伝えたい。

シリコンバレーで会社勤めをしていると、たいていは会社がスポンサーしてくれる健康保険に入る。アメリカの保険料はめちゃくちゃ高く感じる。そのうえ、高い保険料を払っても、Co-Payといって行くたびに一定の金額を取られたり、年間自己負担額が高めの設定だったり、手術だとか精密検査は保険外とか、プランにもよるが医療費がかなりかさばる国だと思う。結婚したり、職を失ったり、妊娠したり、などの特別な理由なくしては、健康保険プランの加入、または変更はオープンエンロールメントの短い期間(たいてい11月から12月)にしかできない。ある年の11月、私は来年はたいして病院に行かないだろうと予想をたて、毎月の保険料が安めであれば、病院に行った時のCo-Payも年間自己負担額も高めでもいいだろうと、一番安いプランに加入した。その翌年、私は何度も病気になり病院のお世話になり続け、高い医療費を払う羽目になって自分の選択を後悔した。特に救急病棟にいかなけらばならなかったときなど、3時間いただけで20万の請求をされたときにはびっくりした。歯医者も高い。高すぎて嫌になり、日本で無保険のまま治療をしてもらったほうが安かったことさえある。

仕事をやめたら、辞めた月の最終日までは健康保険が有効となる。その後はCOBRAといって会社のスポンサーしてくれた保険と同じ保険をある一定期間使うことができるシステムがあるのだが、もちろん料金は会社負担分も自分で払うことになるために急に高くなる。私は仕事を辞める最終日にいくらかかるかを知り、辞めるって言ったのはウソです、といいたくなるほど高かった。保険とか銀行とか事務的なことが本当に面倒で大嫌いな私は、こういう変な後悔をする瞬間がたまにある。1月に辞めたので、2月からはCOBRAにうつる選択ができる。アメリカではオバマ時代、個人の義務として保険に加入していなければならず、加入していない場合はペナルティーが生じていた。トランプ政権になりこの義務は2019年からなくなったのだが、決定は連邦レベルである。アメリカは州レベルの権限も高いので、カリフォルニアは今のところ義務はないはずだが何が起こるかわからない。保険がきれている期間があると、自分の精神的にもあまりよくないのでCOBRAにとりあえずは頼るつもりだ。だけどなんせ高い。というわけで、何かほかに方法はないものかと私は探した。

まずは起業している友達にどんな保険を使っているのか聞いてみると、COBRAと同じくらいの値段を払っているわりにはあまりよいプランではなかった。また、ペナルティーを避けるためだけに保険を買っていた友達は、安いけど全然よくないから病院に行く予定があるならただ安いだけで買うのはやめたほうがいいと言われた。

私の場合は仕事を辞めて他に収入があるわけではないので、グーグルでサーチしたり他の友達と相談してみると、低所得者用の保険があるらしい。たくさんの保険会社が強気で保険を売ろうとしているサイトがたくさんあるなかで、カリフォルニアのDepartment of Health Servicesとともに運営しているCovered CAというウェブサイトにたどりついた。これは公的機関とつながっているため、もちろんセールスコールなどはかかってこない。自分の年収などの情報をインプットし、それをもとにMedi-CalもしくはCoveredCAで提供される保険のプランにオンラインでアプライできるというもの。どのサービスを受ける資格があるかは収入などによるらしい。とにかく私はアプライしてみた。後から調べたら、こういうのに詳しいエージェントの人がいるらしい。あぁ悔しい。なんでこういう人に相談してからやらなかったんだろう。アプリケーションにはたくさん質問があるので、どこでどう答えたらどういう結果になるかもわからず、やみくもに答えていた私は本当に悔やまれる。そして、2-3日で返事がきた。だが、これからどうなるかはまだこの地域の担当者と話さないとわからないらしく、最終決断までは45日もかかるといわれた。そんなに待たされるのは嫌だったので、何度か電話してみたが一向にプロセスが早まる様子はない。ここはアメリカである。公的機関と話す場合にはあきらめてはいけない。日本のようなサービスは期待できない。これから1週間ごとに電話をかけ続けるつもりだ。COBRAとは比べ物にならないくらい安いし、これを使っていた友達はそれなりのプランだったと言っていたので、どのプランになろうとうまくいってほしい。

これから仕事を辞める人には保険の話をちゃんとしてあげようと思う。このプロセスもオープンエンロールメント期間以外はは仕事を辞めてから60日以内しかチャンスがないのだ。誰かこんな話を仕事辞める時にしてくれたらよかったのに!だけど、こういう新しいことを学べるこの機会は楽しい。ほんとはこの保険の話だってもっと調べたらうまいやり方があると思う。世の中知らないことだらけだ。